真っ赤な瞳を俺に向けるソフィアは、サルワの首を掴んでいた手を放すと俺に向かって歩いてい来る。その行動を見た俺はとっさに構えた。

「……」

ソフィアは何も言わず俺の目の前で足を止めた。

「……お前は誰だ?」

そうソフィアに問いかける。しかしソフィアは俺の質問に対して優しく微笑んだだけだった。

ソフィアはそのまま目を閉じると、俺に向かって倒れ込んできた。

「おっと!」

倒れ込んできたソフィアの体を支えながら、白銀の髪が翡翠色の髪へ戻ることに気がつく。

「なんだ? 今のは……」

さっきの姿は本当にソフィアだったのか? あの髪色といい瞳の色といいまるで別人に見えた。

ソフィアは腕の中で寝息を立てながら眠っている。魔力を使いすぎたせいで、疲れて眠ってしまったのだろう。

「その子を今直ぐ私に渡すんだ!」

「っ!」

サルワは掴まれていた首を指先でさすりながら立ち上がった。

「サルワ……やっぱりお前が雫を抜いて回っていたんだな!」

俺の言葉に表情を歪めたサルワは目を細めてじっと見る。そして思い出したように軽く息を吐くと言う。

「……よく見たらアレスじゃないですか」

そういうサルワは俺たちに手をかざす。

「その子の雫は、私がずっと探し続けていた物なんですよ」

サルワに警戒しながら話に耳を傾ける。

「あの一族の雫……それがあれば……ヴェルト・マギーアが完成る」

「あの一族? ヴェルト・マギーア?」

その言葉に首を傾げた時、サルワは俺たちに魔法を放つ。

「闇の波動」

それを見た俺は目の前に手をかざす。

「光の精霊よ、汝の力を持って我らを守りたまえ、光の盾(ミルアディルア)!」

光の護りが俺たちの体を包み込み闇の波動を弾き飛ばした。

「くっ!!」