「ソフィア! しっかりしなさい!」

意識が遠のいていく中でテトの声が耳に届く。

「あなたは何のために強くなったのよ! こんなところで負けるほどあなたは弱くないでしょ!」

「テト……」

……テトの言うとおりだ。

こんなところで、こんな奴に負けるわけには行かない! アレスのためにも自分のためにも、雫を抜かれるわけには行かないんだ!!

「私の……体から……離れろ……」

私は雫に手を伸ばしているサルワの左手首を掴んだ。

「っ?! なんだ……中になにか?」

そのとき私の意識は何かよにって飲まれていった。

「汚い手でこの私に触れるな!」

何かを感じとったのかサルワは左手を引っ込めると私から距離を取った。

そして今そこに居たはずの私の存在がないことに気がつき目を丸くする。

「ど、どこに?!」

辺りを警戒しながらサルワは辺りを見渡した。

「どこを見ているの?」

「っ!」

後ろを振り返ろうとするサルワの背中を私は思いっきり蹴り飛ばす。

「ぐぅっ!」

勢い良く壁まで飛ばされたサルワは、口の端から流れる血を拭いながら立ち上がる。そんなサルワに私は構える。

「その構え……まさか!」

「共振せよ、我が魂、共振せよ、我が肉体――」

真っ赤に染まった瞳でサルワの姿を捉える。

「共振(レゾナンス)、発動」

そう呟いたときサルワの方だが光に包み込まれた。