「ミッシェル早く!」

「で、でもっ!」

きっとこれ以上言っても、ミッシェルの体は言うことを聞かないだろ。

「ミッシェル……また後で会おうね」

私はミッシェルに両手をかざす」

「手をかざした者をあの場所へ、瞬間転移(テレポ―テイション)」

「え……」

ミッシェルの体が青白い光を放つと、私はそのままミッシェルを学校の外へと逃した。

「……逃したか」

手を下ろした私はサルワに向き直る。

「あの子が居ると思いっきり戦えないじゃない」

その言葉に軽く笑うサルワは言う。

「だがもう君には魔力が残っていないだろう」

「そんなことない!」

私はサルワに両手をかざす。

「炎の精霊よ、目の前の者を燃やせ、炎(ファイア)!」

炎が勢い良くサルワに飛んでいく。

しかしサルワは逃げようとはせず、防御魔法も使わず私に手をかざした。

「闇の波動」

「きゃあああっ!」

放った魔法が跳ね返され闇の波動をまともに受けてしまった私は、そのまま勢い良く壁に叩きつけられた。

「くっ!」

私は肩を抑えながらゆっくりと立ち上がった。

「ソフィア!」

どこから出て来たのか私の名前を叫ぶテトがこちらに来ようとしていた。

「来ちゃだめ!」

私はテトにそう強く命令する。

使い魔は主から強く命令されれば絶対に逆らう事が出来ない。本当はこんなことしたくないけど、これもテトを傷つけないためだ。

命令を聞かざるを得ないテトは苦しい表情を浮かべている。

「氷の精霊よ、その力を一つにし目の前に者に向かっていけ、凍結の矢(グラースアロー)!」

背後に無数の矢が現れ凍結の矢はサルワに向かって真っ直ぐ飛んでいく。

「ただの初級魔法がこの私に通用すると思うのか?」

飛んできた矢を素手で掴んだサルワは、力を込めると矢を粉々に砕いてしまった。

「そ、んな……」

その光景を目にした時、目の前の視界が大きく揺らいだ。