「反射も使えるのか。だったら――」

サルワは右目に付けていた眼帯を外すと、右目に魔力を込め始める。

「あれは?」

「あの目を見ちゃ駄目よ!」

「えっ?」

右目の魔力を注いだサルワはその目で私の姿を捉えた。

「悪魔の目(ディアーブルアイ)」

「っ!」

突然、体の自由が奪われてしまった。

「か、体が……!」

体の自由を奪われたせいで手足を動かすことが出来ない。これじゃあ逃げられない。それならいっそ――

「テト私から離れて!」

肩の上に居るテトに逃げるように促す。

「何馬鹿なこと言ってるの! あなたを残して行けるわけないでしょ!」

テトの答えは予想していた言葉のままだった。やっぱりテトは簡単には言うことを聞いてくれない。

「いいから言うことを聞いて!」

いつもならここで言うことを諦めるところだけど、今はそういうわけにも行かない。テトだけでも今直ぐに逃げてほしかった。

そんな私に追い打ちをかけるように、サルワが私に手をかざすと魔法を放つ。

「黒影の鎖(シャドウチェイン)」

黒影の鎖が私めがけて飛んでくる。

「っ!」

鎖が私の体に巻き付くとサルワは解けないように錠前をかけた。

「捕まえた」

サルワは自分の手から伸びている鎖を掴むと、自分の元へ引き寄せるように力強く引っ張る。

「きゃっ!」

その拍子に体が前に倒れ込んでしまい、肩に乗っていたテトは地面に着地する。

「こんなところで!」

体に巻き付いている鎖をテトは爪を使って引っ掻いていく。

「無理だよテト! この鎖は簡単に解ける物じゃない」

「だからって何もしないよりかはましでしょ!」

「テト……」

必死に鎖を爪で引っ掻いていくテトだが、鎖には傷一つ付かない。

「邪魔な使い魔だな」

サルワは再び右目に魔力を込めるとその瞳でテトの姿を捉えた。

「か、体が……」

「テト!」

「使い魔は大人しくしていろ」

テトは苦しい表情を浮かべながら、サルワを睨みつけていた。