「きゃああ!」

放った魔法が跳ね返され私は勢いよく壁に叩きつけられた。

「かはっ!」

叩きつけられたと同時に体に激痛が走る。私は肩を抑えながらゆっくりと立ち上がる。

「ソフィア!」

遠くの方でテトの呼ぶ声が聞こえる。

なぜこんなことになっているのか、それは数分前に遡る――

♢ ♢ ♢

夕食を終えて部屋で勉強していたとき、ふと嫌な魔力を感じた。

「……この魔力は?」

どこからか感じる嫌な魔力に疑問を抱き部屋の外に出た時だった。

「な、なに!?」

学校全域を激しい揺れが襲い体育館方から爆発らしき音が聞こえた。

「ば、爆発……?」

爆発音がした方へ目を向けると、体育館から黒い煙が上がっているのが見える。異変に気づいた寮の子たちも次々と外へ出て来る。

「いったい何の音?」

「おい、あれ見ろよ!」

「も、燃えてるぞ!」

体育館の方から上がっている煙は、風に流されてこちらの方まで流れてきていた。

「あれ……やばいんじゃないか?」

「逃げないと!」

生徒の一人が校門に向かって走り出した時、頭上からドラゴンの鳴き声らしき声が聞こえた。それを聞いた私は空を見上げて目を丸くした。

「わ、ワイバーン?!」

全身は赤い鱗で覆われ不気味に輝く紫色の瞳は、こちらの様子を伺うように向けられていた。

手足の先から生えている鋭い爪や、先が尖っている尻尾に当たったら大怪我じゃすまないだろう。

そして学校の頭上には大きな魔法陣が浮かんでいる、ワイバーンたちはそこから姿を現し、それ以外にも小竜たちが次々と出て来ている。

「あれは召喚魔法!」

どうして召喚魔法の魔法陣があんなところに?!

「どうしたの……ソフィア?」

テトが眠そうに目をこすりながら出てきた。

「テト出てきちゃ――」

激しい突風が辺りを襲うと、一匹のワイバーンが私たち目掛けて飛来して来る。