「ああ、くっそ!」

これから警察署に届けようとしていたのに何で落としちゃうんだ!

「あるとするなあ学校の中になるけど、校門を通る時は確かにあったはず」

そうなると校門近くで落としたことになる。

「誰かに拾われる前に戻らないと!」

そう思って走り出そうとした時だった。

「――っ!」

突然地面が大きく揺れた。地震ではなく何かの衝撃によって揺れる、そんな感じの揺れだった。それに今まで感じたことのない強い魔力を感じた。

「この魔力はなんだ……?」

鳥肌が立つくらい嫌な感じがする魔力だ。

「いったいどこから?」

強い魔力を感じた方へ目を向けた時、見知った場所で赤い光が見えた。

「あそこはっ!」

赤い光が見えた先には、さっきまで俺がいた学校があった。学校の敷地内からは黒い煙が上がっていて、学校の頭上には大きな魔法陣が浮かんでいる。

「あれは……召喚魔法の魔法陣?!」

ここからだと何を召喚する魔法陣なのかはっきりと見えない。

俺は急いで学校に向かって走り出す。

「校内で爆発が起こったのか?」

学校に近づいて行くに連れて、近隣の人たちがこちらに向かって逃げて来るのが見えた。生徒たちも次々と学校の外へ出て来ている。

校門前に着き魔法陣を見上げた時俺は瞳を丸くした。

「……ドラゴン?」

学校の頭上にはワイバーンらそき竜が空に向かって吠えていた。

「何でワイバーンがあそこに!?」

ワイバーン以外にも、数多の小竜たちが夜空を飛び回っているのが見える。

俺は外に避難して来ている生徒たちの中からソフィアの姿を探した。

「ソフィア! どこにいる?!」

しかし何度ソフィアの名前を呼んでも、ソフィアから返事は返って来なかった。