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探偵である俺の親父はあの日に起きた事件を捜査していた。

小さかった俺は何一つ話を聞かせてもらえなかったけど、ある日親父が出掛けている間にこっそりと部屋に忍び込んで、親父が作った捜査資料を勝手に盗み見たことがある。

「確かこれだったはずだ」

分厚い捜査資料を両手で掴んで隠れるように座り込み一枚ページをめくった。

そこには当時の現場の内容がきめ細かに記されていて、目で追っていくのがやっとだった俺は、ある文章のところで目を止めた。

「アフィアさんを襲った集団が……全員亡くなっていた?!」

疑問に思った俺は更にその先の文章を読み進めていった。

「アレスたちが襲われた屋敷の中庭には、アフィアさんたちを襲ったと思われる人たちが、無残な姿で倒れていた。生死を確認してみるもその無残な姿から、ひと目で亡くなっていることが確認出来た」

そうまとめられた文章を見た俺は静かに資料を閉じた。

「……全員死んでいた?」

あのときの記憶ははっきりと覚えていない。

アフィアさんが俺たちを助けるために全員殺したのかもしれないし、まったく別の誰かが殺したのかもしれない。

そう考えた時、ズキッとした痛みが頭を走った気がした。

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「今度ここに連れて来てくれないかしら?」

昔のことを思い出していた時、母さんに声をかけられた俺は苦笑して言う。

「連れてくるのは良いけど絶対嫌がるぞ?」

“そんなところに行くより、勉強している方がマシだ”とか、“そんなことに付き合っているほど私は暇ではない”とか、怒りながら言ってきそうだ。

そんな光景が脳裏を過って俺が軽く笑った。