「黒の魔法教団って言うのは、闇魔法を使う連中のことよ」

「闇魔法って……!」

「世間では闇魔法を使うことは快く思われていない。それは闇魔法が“穢れた魔法”だからよ」

闇魔法は別名“穢れた魔法”と呼ばれ、ほとんどの魔法使いが使うことすら拒む、禁忌の魔法が集まったものだ。

大抵悪さをして警察に捕まった者たちは、この穢れた魔法を使っていることが多い。そういうこともあって、穢れた魔法は“悪い人が使う魔法”と認識されてしまっている。

しかし中には、“魔法協会”に認められた者も使っている魔法とも言われている。

「黒の魔法教団は自分たちのやることは“正義”だと思い込んで、平気で犯罪を犯すいかれた集団よ」

「それが今回の犯人なのかな?」

「あの集団が何の目的で雫を集めているのか……少し気になるわね」

良くないことに使おうとしているのは明白だけど、何の目的で雫を集めているのかは、今のままでは分からない。

きっとアレスだって教団に関する情報が少なくてそこまで辿り着けていないんだ。

「私の方でも少し調べてみるけど内容によっては今回の事件、ソフィアは関わらない方が良いかもしれないわね」

「どうして?」

「あなたの雫も狙われかねないからよ」

テトの言葉に私は目を丸くした。

確かに下手に首を突っ込めば、私の雫も狙われるかもしれない。でもそんなことアレスだって同じだ。

それでもアレスは事件を解決に導くために頑張っている。それなのにただこうして、事件が解決されるのを待っているだけなんて嫌だ。

今まで物にしてきた知識や技術を使えば、私ならアレスの役に立つことが出来るかもしれない。

そう思った私は拳に力を込めた。