「それさっき届いた新聞よ」

「今日は随分と遅かったのね」

「いつもなら朝一に届けてくれるのにね」

新聞の表記事にはでかでかとある記事が掲載されていた。それは見覚えのある人物と一緒に。

「今日もまた雫を抜かれた人が出たみたいよ」

「また……」

“また一人、雫を抜かれた者”という見出しから始まり、その下には事件に関する詳しい内容が記載されていた。

「最近物騒よね。いったい誰が何のために雫を抜いているのかしら?」

「それを解決するために“あいつ”が、警察と一緒に事件を追っているんでしょ?」

テトにそう言い放ち私は新聞の記事に目を落とした。

「本当は心配なんじゃないの? 幼馴染の探偵さんのことが」

「そんなわけないでしょ。あいつがどうなったって、私には関係のないことだから」

「ふ〜ん……」

テトの疑いを向ける視線を無視しつつ、私は事件の内容を目で追っていった。

雫が抜かれる事件が起きたのは、今からちょうど三ヶ月くらい前になる。

最初に雫を抜かれた人はここではないある魔法学校の先生だった。

当時発見された先生の身には特に変わった様子もなく、魔力の数値にも異常が見られなかった。

だから警察も事件への関連性はないと判断し、事件の捜査は行われなかった。

しかしそれから七日が経った日、その先生が亡くなったという記事が新聞に記載された。

先生が亡くなった原因は雫が抜かれたことによる“マナ中毒”だった。