【黒の魔法教団の行方を捜索し始めて三ヶ月が経った。そして昨日、また新しく被害者が出てしまった。

狙われたのは隣町に住む緑雫の魔法使いだ。話を聞くと彼はいつも通り、学校から家へと帰宅途中で人気のない道を歩いていた。

すると突然辺りに霧が立ち込めてきた。彼は周りに注意しながら、家への帰途を急ごうとして走り出そうとした時に、フードを被った数名の男女に襲われた。

魔法を使って抵抗しようと試みたが、抵抗する前に体から何かを抜かれる感じがした。それ以降の記憶はあまりはっきりとしていなく、気がついたら彼は魔法が使えなくなっていた。

これまでの被害者に話を聞いてきた中で、どの被害者たちも“霧が立ち込めてきた”と発言している。まら“フードを被った封名の男女”。

奴らがいったい何の目的で、魔力の強い魔法使いの雫を抜いて回っているのか分からない。一刻も早く事件を解決に導くためにも、もっと情報を集めないといけない。】

やっぱりこれは警察宛の報告書だった。

報告書の中には新しく雫を抜かれた者の詳細が書かれていて、“霧が立ち込めてきた”、フードを被った数名の男女”のところには、分かりやすく赤ペンで丸印がされている。

こんな大事な物を部外者の私が読んで良いものかと思ったけど、この報告書には一つだけ新聞に記載されていない名前が書かれていたことに気がつく。

「黒の魔法教団？」

聞き覚えのない名前だった。

きっとこの黒の魔法教団と呼ばれる教団が、今回の事件の犯人なのだろう。でもなぜそのことを、アレスや警察の人たちは表で言わないのだろう？

「また物騒な集団の名前が出てきたわね」

「知ってるのテト？」

私の言葉に頷いたテトは机の上に飛び乗る。