こんなこと基本中の基本だ。この学校に通っている生徒なら誰でも知っている話だ。そんな当たり前のことを言っただけなのに、何で拍手が上がるのか分からない。

「そんなことないです。俺なんかよりソフィアの方がずっと詳しいですよ」

そんな話しはどうでもいいから早く授業を進めて欲しい……。

「では、今から九種族戦争についてお話していきますね」

チョークを左手に持った先生は右手にノートを持つと、そこに書かれている内容を黒板に書き写していく。

この世界には私たち“人間族(ヒューマン)”を含める九種族たちが暮らしている。

人間族以外にも森を主に縄張りとしている“森人族(ダークエルフ)”。

農業の仕事をしており人間族とも交流がある“猫人族(ケットシー)”。

猫人族と同じく人間族と交流があり漁業の仕事をしている“犬人族(クーシー)”。

竜の血を引くとされている“竜人族(リザードマン)”。

海底に領地を持っており海の中で過ごしている“魚人族(マーマン)”。

空に浮かぶ島に住んでいて背中に翼を持つ“鳥人族(フォーゲル)”。

森の東の方に領地を持つ“兎人族(ハーゼ)”。

森の西の方に領地を持つ“狼人族(ヴォルフ)”。

今から何千年も昔、この九種族たちはそれぞれのの領土を巡って争い殺し合ったと言われている。その戦いは何百年と続き、たくさんの血と涙が流れ多くの者たちが亡くなった。

それを見かねたエアとトートが、何百年も続いた戦争を終わらせた。そして二人は九種族たちにそれぞれの領土を与え、魔法の知識を与えてくれた。

それから領土を巡っての戦争は起こっていない。

だから今でもこうして普通に生活が出来ているわけだけど、人間族はは何百年か前に犯してはならない罪を一つ犯している。