♢　♢　♢

「今日はこの世界の歴史について学びたいと思います」

次の授業は歴史学の授業だ。主にこの世界の歴史や魔法の成り立ちなどを学ぶ授業だけど、魔法書を読んである程度知っている私からしたら少し退屈な授業だ。

でも歴史を振り返るの授業は少し楽しかったりする。

「みなさんはもちろん知っていますよね？　この学校の知恵の女神であり、守り神でもあるエアとトートを――」

先生の言葉に周りがざわめき始める。そんなクラスメイトたちの様子を見ながら、隣も席に座っているアレスの姿を横目で伺う。

するとアレスは何かを必死に書き留めるようにペンを走らせていた。

「……」

気になるとかそういうわけじゃないけど、先生の話よりも何かを紙に書くことを優先しているように見えたから、どんなことを書いているのかと……やっぱろ正直に言うと少し気になる。

紙の方に視線を動かすとそこには細かい文字がズラッと並んでいた。ここからだと字が細かすぎるせいで内容が分からない。いったい何をそんな真剣に書いているの？

気になって仕方がないけどここで魔法を使うわけにもいかない。たかが書いている内容が知りりたいがために魔力を使うのは勿体無い。

「それではアレスさん。エアとトートは“九種族戦争”を終わらせた後に、二人は何をしましたか？」

「はい！」

アレスは焦った素振りを一切見せず、何事もなかったように立ち上がると言う。

「戦争を終わらせたエアとトートは、俺たちが住む世界に“魔法”と言う物を与えました。炎・水・雷・光・闇などの魔法を」

「正解です。さすがアレスさんですね」

先生の言葉に教室にいるみんなが、アレスに向かって拍手を送った。そんな光景を見ながら私は軽く溜め息を溢した。