自分の事を【絶対零度の女】と呼んだ男の子を睨みつける。男の子は私の視線に気がつくと焦った表情を浮かべた。

そんな顔を浮かべるくらいなら、最初から言わなければ良いのにと思いたいところだが、今の一言で私の中にあったものが確信へと変わった。

そんな中アレスは、私と男の子の顔を交互に見ながら首を傾げていた。

「そういえばマイケル……あんただよね? このクラスで私のことを一番最初にそう呼んだの」

「そ、それがどうしたんだよ?」

「つまりこの【絶対零度の女】って呼び名は、あんたから広まったことになる」

私の言葉にマイケルはまずいと思ったのか表情を歪めた。

どうやら図星をつかれてどうしたら良いのか分からないようだ。しかし今更後悔したところで遅い。犯人が見つかった以上、素直に見逃してあげるほど今の私は優しくない。

私は更にマイケルを鋭く睨みつけズカズカと歩み寄る。

「だ、だって……ほんとのことだろ! お前の目つきでみんなが固まりゅっ――」

私は力を込めた右手でマイケルの頬をわし掴んだ。顔をぐっと近づけ低い声で言い放つ。

「うるさい、黙れ。これ以上その口で私を【絶対零度の女】なんて呼んだら、お前の存在を炎の玉(ファイアーボール)で消し炭にしてやる」

「わ、わかりゅましゅた!!!」

マイケルは目に涙を浮かべながら頷いた。

これだけ言っておけば大丈夫だろと、そう思った私はマイケルから手を放した。

体から力が抜けたのかマイケルは意気消沈して、意気消沈してその場に座り込んでしまった。

「こ、こえ〜……」

小さくそう呟くアレスを睨みつけた私は自分の席に戻った。

さっきの私の姿を見たせいかクラスメイトたちは、体を固くしてしばらく動けないでいた。

まるで絶対零度の女に睨みつけられたかのように――