「言ったじゃない。“あの子はあの子なりに優しく言ったつもり”だって」

「あ〜……そんなこと言った気がするな」

それが俺を嫌う理由と何の関係があるっていうんだ?

「ソフィアの言った他人同士って言葉は、あなたをライバルだって認める言葉なのよ」

「ライバル?!」

思わず大きな声でそう叫んでしまい慌てて口を抑える。

何で俺がソフィアのライバルになるんだ? まさか“今から宣言する”ってのは、今日から私はお前のライバルだ”って意味だったのか?

「俺をライバルって何でまた?」

「あなたのことは、新聞を読んである程度のことは知っているわよ。今日の新聞にだって、通り魔を捕まえたって書いてあったしね」

「それは……そうだけど」

本当は通り魔なんて捕まえていないんだけどな。

「それにあなたは前に通っていた学校では成績優秀で、飛び級して卒業したって聞いたわよ」

「どこから掴んで来るんだよ? その情報……」

「それは言えないわよ。ソフィアの使い魔でいる間は、情報を多く持っていても損はないからね」

「あっそ」

どうやらこのテトは、他の使い魔たちとは少し違うようだ。

本来、使い魔は命令されるまで自分から動くことはしない。テトみたいに自分から情報を集めている使い魔は、居るに居るが滅多に居ない。それも主のためとなる情報集めだ。俺が知っている中で、テト以上に主のために動く使い魔はいないだろう。

「知っているかしら? この学校ではソフィアが常に、魔法・勉強・技術の全てにおいて一番だってこと」

「それは紫雫の先輩たちよりもか?」

「当たり前じゃない」

ここまで堂々と言い切るってことは、相当な自信があるってことだ。

ここに来る前に理事長から俺と互角に競える生徒が居るって聞いたけど、それは間違いなくソフィアだろう。