そう言えばもう四年も顔を合わせていなかったな。たった一人の幼馴染だから、元気にしてくれていたら嬉しいけど。

「ソフィアは今どうしているんですか?」

「ソフィアもこの学校に通っているよ」

「ほ、ほんとですか!」

ソフィアもこの学校に通っているのか……。それなら何処かで会う機会があるかもしれない。

でも四年間も音信不通だったんだ。もしかしたら忘れられているかもしれない。もしそうだったらちょっと悲しいな。

「ソフィアもアレス君と同じくらい優秀な生徒なんだよ」

「あのソフィアがですか?」

あのソフィアがね……。すると青雫か緑雫の魔法使いくらいになって居そうだな。

でも先に生まれたのは俺だし、ソフィアに後輩扱いされるのは何か嫌だ。

「なんたって今のソフィアは――」

理事長が言葉を紡ぎかけた時、扉がノックされる音が部屋の中に響き渡った。

「噂をすれば」

「えっ?」

理事長の言葉に小さく首を傾げる。

噂をすればってどういう意味だ?」

「お父様、私です」

扉の向こうから女の声が聞こえてきた。

この声の主はひょっとして。

「ソフィアか? 入りなさい」

「ちょ、理事長!」

俺の中では今からソフィアに会うという、気持ちの整理が出来ていなかった。

四年ぶりに会うわけだし、最初に何て声をかければ良い? やっぱりここはど定番である“よお、久しぶり”の方が良いのか? それとも“少し見ない間に大きくなったな”の方が無難か? ああでもこれだと、同い年としてかける言葉じゃないか。

「失礼します」

部屋の中に俺が居ると思っていないソフィアは、何の躊躇いもなく扉を開けると部屋の中に入って来た。