机の上には実験に使っているフラスコが数カ所に配置されており、その中には不気味な色をした液体が、ぶくぶくと音を立てながら入っている。おまけに何処からか、煙がモクモクと出てきているせいで目の前がよく見えに。

「こ、これは……?」

「新しい実験だ」

隣から声が聞こえそちらに目を向ける。

煙のせいではっきりと見えなかった先生の姿が瞳に映る。

「シュー先生……これは何の実験ですか?」

「それは秘密だ」

「なら結構です。それで私に用事って何ですか? 大した用事じゃなければ早く帰りたいのですが」

「そう怒るなよ。お前に頼みたいのはアレスのことだ」

「……アレス?」

何で先生がアレスのことを知っているの? いや……新聞の記事を見れば、アレスがこの学校に入学して来ることくらいは直ぐに分かる。

でも私とアレスの関係は知らないはずだ。

「新聞の記事に乗っていた通り、アレスがこの学校に入学して来るんだが」

「それは知っています。それで私に何をしろって言うんですか?」

「率直に言うぞ。お前に数日間だけ、アレスと行動を共にして欲しいだ」

「…………は?」

私は先生の言葉に首を傾げた。

数日間だけアレスと行動を共にして欲しいって……何で私が? 嫌がらせ? 嫌がらせなの?!

「アレスもまだこの学校についてはよく知らない。だから同じ黄雫の魔法使いとして、成績優秀であるお前に頼みたいんだ」

同じ黄雫の魔法使い?! あいつ私と同じクラスに配属されるの? あいつの実力なら緑雫の魔法使いまで行けるでしょ!

「それで引き受けてくれるか?」

「――失礼します」

私は軽く先生に頭を下げ足早に部屋から出て行った。

「お、おいソフィア……たくっ」