「じゃあ、聞かない事にする」

「そうしてくれ」
 
そう言って苦笑したアレスの姿を見て軽く笑う。そんなアレスを見た私は病室の中から青空を見上げた。

★ ★ ★

今回のヴェルト・マギーアを巡る戦いは無事に幕を下ろした。しかし今回の事件はまだ序章に過ぎない。
 
ある者は一族の復興を願い、ある者は愛する者の為に生き続け、ある者は約束をした者を待ち続けている。

「ここを離れている間に強い魔力を感じたんだが……」
 
ここには確か教会が建っていたはずだ。しかし目の前に見える教会は損壊が酷く、とてもじゃないが教会と呼ぶにはもう難しいだろう。

「まあでも……ここに来て正解だったか」
 
俺は微かに残っている魔力を感じ取り拳に力を込める。

「ようやく見つけたぞ魔人族」
 
小さくそう呟き珍しく晴れた霧の中から、青空が顔を出している事に気がついた。

俺は青空を見上げて言う。

「もう少しだから……待っててくれ……オフィーリア」
 
首から下げられている翡翠石を掴み俺は青空に誓うように手を伸ばした。









ヴェルト・マギーア ソフィアと黒の魔法教団 END