カレンさんはサファイアを見下ろすと言う。

「それでも人の為に研究を続けていたお兄様は、禁忌の魔法にまで手を伸ばしてしまって、悪魔と契約を交わしてしまいました」

「でもそれはカレンさんのせいなんかじゃ!」

「いいえ、私のせいです!」
 
カレンさんは力強くそう叫んだ。

「だから私は一生をかけてこの罪を背負い続けます」
 
あこがれだったお兄さんが自分のせいで道を外してしまい、禁忌の魔法にまで手を出させてしまった。その罪をカレンさんは一生かけて背負い続けると言った。

「カレンさんの思いは分かりました」

「ソフィアさん……」

「でも……これだけは言わせて」
 
私はカレンさんの手を掴んで言う。

「私を助けてくれてありがとう」
 
その言葉を聞いたカレンは優しく微笑んでくれた。

「話は終わったか?」
 
いつの間にかアレスが病室の中へと入ってきていた。

「ロキは?」

「あいつは廊下で待機中」
 
その言葉を聞いたカレンさんはクールな雰囲気をまとう。

「それじゃあ私たちはこれで失礼します」
 
カレンさんはアレスの横を通り過ぎると足早に病室から出ていった。

「ロキ行くよ!」

「いででででっ! 耳を引っ張るな!」
 
そんな二人のやり取りが聞こえ私は軽く笑った。

「騒々しくて悪いな」