「ああ、さっき終わったところだよ」
 
ロキさんの問いにアレスは簡潔に応える。
 
アレスはこの一週間、警察署にこもって報告書や事後処理に追われたらしい。

また何も言わず勝手に教団のアジトに乗り込んだ事に対して深く怒られたと、アレスと使い魔の本契約を交わしたムニンから聞いた。

「ロキ……ちょっと二人で廊下に出て話をしようか?」

「は……はい」
 
肩を落としたロキさんはアレスに連行されるように部屋から出ていった。

「ロキのことは気にしなくていいから」

「は、はい」
 
そう言ったカレンさんは近くにあった椅子に座ると言う。

「改めまして、私は氷結の魔道士カレンと申します」
 
私に名乗ったカレンさんは礼儀正しく頭を下げる。そんなカレンさんの姿を見た私も釣られて頭を下げた。

「あ、黄色の魔法使いのソフィアです」
 
自分も名乗った後、カレンさんの体に目を向ける。

「カレン……さん、その……ごめんなさい」
 
私はもう一度深々と頭を下げた。
 
頭を下げたところで許されるなんて思っていない。

でも謝らずには居られなかった。カレンの体の傷は私が付けたものなのだから。

「どうしてソフィアさんが謝るんですか?」

「だって!」

「謝らないといけないのはこちらの方です」

「えっ」
 
カレンは私の顔を見つめると言う。