「ソフィアに何をしたのよ?!」
 
テトがサルワに問いかける。

「ヴェルト・マギーアを強制的に発動出来るようにしておいたんだよ」

「なっ!」

ソフィアの魔力がどんどん上がっていくのを感じる。

「これで……私が創造する世界が出来――」
 
言葉を紡ぎかけたサルワの横を、カレンのサファイアが頬をかすめ突き刺さった。

「いい加減にしてくださいお兄様! こんなことして、いったい何になるんですか?!」

「黙れカレン! 私はみんなに証明するんだ! 俺はカレンよりもずっと優れた存在だと!」
 
サルワは両腕を広げるとそう叫んだ。

「ヴェルト・マギーアさえ完成させればこの世界は私の物だ! もう私のことを悪く言う者は居なくなる!」
 
ロキはカレンを支えながら立ち上がる。サルワの言葉を聞いていたカレンは深く溜め息を吐いた。

「サルワより今はソフィアを止めることを考えるんだ!」
 
ムニンの言葉でソフィアに目を戻す。ソフィアの胸元にある魔法陣が体全域に広がって行き、ソフィアは頭を抱えたまま地面を転がった。

「ソフィアの中にある雫が暴走を始めたのよ」

「やっぱりソフィアの雫でも全ての魔力を収めることが出来なかったんだ……」
 
ソフィアは苦しそうに体を捻らせる。

「うわああああっ……く……うぅ……、あああああ!!!」
 
俺のそんなソフィアの姿を見ていられなかった。

どうすれば良いんだ!
 
雫を戻す方法が記された魔法書はまだ見つかっていない。それ以外に方法は――