「じゃあ俺の血にもその特殊な魔力が少し流れているのか?」

「あなたの体の傷を癒やす為に自分の血を飲ませたんだろうけど、その血がアレスの血に馴染むとは思っていなかったようね」
 
でもそのおかげで今回は助かったんだ。もしソフィアの血が俺の血に馴染んでいなかったら今頃死んでいただろう。
 
そう思い脳裏にソフィアの泣く姿が浮かび上がり拳に力を込めた。

俺たちの話を聞いていたロキは困惑しながら聞いてくる。

「アレスが蘇生された? 魔人の血が体に流れている? ……いったいどういうことだよ?!」
 
ロキが分からないのも無理もない。何も説明しないで連れて来てしまったからな。

この事件が落ち着いたら二人にはソフィアについて話しておいた方が良いかもしれない。
 
俺はソフィアの事をテトに聞く。

「ソフィアは、どうしたんだ?」
 
俺の言葉にテトは目を向きそれに釣られ俺も間を向いた。

「な、だよ……これ」
 
目の前の景色はさっきと全く変わっていた。

礼拝堂の形すら保っておらず、壁や床が所々凍っているのが見える。壁や屋根は崩れ落ち廃墟と言っても良いくらいの損壊ぶりだ。俺が眠っていた間にいったい何が起きたんだ?

「カレンが何かしたのか?」

「いや……カレンは」
 
ロキが言葉を続けようとした時、空から何かが降ってきて勢いよく氷の上へと落ちた。それに気がついた俺たちは、一斉にそちらに目を向けた。

「この魔力は……」

「カレン!」
 
それを見たロキは慌てて駆け寄る。