「君の中には私が今まで貯めてきた雫の全てが詰まっている。それを使えば君が望む世界だって創造することが出来るんだよ!」
 
【なるほど】と思った。

確かに今の私の中にはサルワが今まで奪って貯めてきた、結晶体の全魔力が詰まっている。

私が今直ぐに望めば世界なんて直ぐに創造出来る。

「君が望む世界を創造するのだ! 人間族も他の種族たちも魔人族には逆らうことが出来ない世界だ」

「……」

「もちろん君が望めば魔人族の復興も実現する」

「……そうね」
 
私はサルワに手をかざす。

「闇の波動(ダークウェーブ)」

「っ!」
 
闇の波動がサルワに直撃する。

「魔人族が……悪魔と契約なしで闇魔法を?!」

「魔人族は相手の魔法を一回見ればコピー出来るのよ。完全とまでは行かないけど」
 
そう言った私は闇の波動を打った手の平を見つめた。

「確かに私は今でも人間族が憎いよ。でも……今の生活も結構楽しんでるんだよ」
 
私はアレスに目を向ける。

「私が望む世界はアレスとずっと一緒にいることだけ。魔人族の復活になんて興味ないもの。だってあの時、滅ぶ選択をしたのは他の誰でもないあの人たち自身だったんだから」
 
私が人間族を恨んでいるのは、魔人族を滅ぼされたからという理由じゃない。

魔人族はどの種族たちよりも人間族と共に生きることを望んでいた。でも人間族は、そんな魔人族の願いを裏切った。心から人間族たちを愛し魔人族を愛していたお母様をあいつらは殺したんだ。

私は……それが許せない。
 
私は翼を広げると宙を浮く。