「でも、それで本当にいいの?」
 
私の言葉に首を傾げ哀れな姿をしているサルワに告げる。

「闇魔法ばかり使い続ければ……元の人間に戻れなくなるよ?」

「そんなこと、承知の上だ」

「……」
 
その言葉を聞いて息を軽く吐く。

「でもあなたの計画は大失敗よ。結局ヴェルト・マギーアは完成しなかったんだから」

「それはどうかな……」
 
サルワの言葉を聞きじっと見つめる。
 
どうやらまだ何か策を残しているようだ。ここは下手に突っ込んで行くよりも、あいつの様子を伺うべきなんだろうけど。

「ま、いいわ」
 
私は拳を構える。

「とりあえずあなたには三回以上死んでもらうわね。アレスの為にも――」
 
床を思いっきり踏み込み拳を構えた私はサルワに向かって行く。そんな私の姿を見たサルワも拳を構える。

「はあああっ!」

「ふっ」
 
お互いの拳がぶつかり合う。

「ソフィア……」
 
テトが私の名前を呼んだことに気がつき私は一度後ろへと下がる。

「大丈夫だよテト。こいつを殺したら次は団員たち全員を殺すから」
 
そうテトに告げニヤリと笑った私はサルワに殴りかかる。

「このままじゃ……ソフィアの意識が消えてしまう」

「そんなのどうでも良いよ!」
 
もう一人の私の意識が消えようがそんなことどうでも良い。

いっそ消えてもらった方が楽だ。もう一人の私の意識が消えればこの体は私の物になる。アレスを私の物に出来る。