★ ★ ★

「ソフィア!!」
 
アレスの声が聞こえた。

アレス……?
 
私は重い瞼を薄っすらと開く。

どうやらまた体の中に魔力が注がれてるようだ。そのせいで視界がはっきりとしない。

視界が霞む……。
 
そう思いながらもアレスの姿を探そうとした時だった。

「アレス! しっかりしなさい!!」

テト?

テトの声が聞こえた。普段は落ち着いている口調なのに、今のテトの声音はとても焦っているように聞こえた。
 
私は声が聞こえた方へと目を向けた。そして私の瞳に倒れ込んでいるアレスの姿が映った。

……アレス?
 
視界がはっきりしてきてようやく気がついた。
 
アレスが倒れ込んでいる周りは徐々に赤い血が広がり始めていた。それを目の当たりにした私は目を丸くした。

「あ、れす?!」
 
その光景を目にした時、私の体が大きく脈を打った。

「血……血がっ!!」
 
血が沸騰するように熱い! そう思ったと時、小さい頃の記憶が頭の中を過った。

「あ、頭が!!」
 
頭が割れるように痛かった。
 
私はあの光景を前に一度だけ見た覚えがある。でもいつだったのか思い出せない。

「もう少し力を強めてみるか……」
 
そう呟いたサルワが私の胸元に刻まれた魔法陣に手をかざす。

「ああああ!!」
 
そのせいで再び体に激痛が走った。
 
もう私の雫は限界に来ていた。

今にも破裂しそうな感覚を感じ雫が悲鳴を上げているように思える。でも今はそんな事どうでも良い。