「残念だよ探偵。楽しませてくれると思っていたけど……どうやら期待外れのようだ」
 
そう言い放ったサルワはこちらへと歩いてくる。サルワが魔法陣へと足を踏み入れた時、雫の結晶体が光を放ち始める。

今までに感じたことのない魔力を感じ体に鳥肌が立った。

あの結晶体の魔力全てがソフィアの雫に収まりはずがない。このままだとソフィアの体が壊れてしまう。
 
そう思った俺はソフィアの元へ駆け寄ろうとする。しかし俺の体は見えない結界で弾き返されてしまった。

「ぐっ!」

弾き飛ばされた俺は床を転がった。

「何をやってるのアレス!」
 
テトは床に下りるとそう言う。俺はテトの言葉を無視したまま立ち上がる。

「……すうっ!」
 
俺は思いっきり息をすい、ソフィアの名前を叫んだ。

「ソフィア!! 目を覚ませ!!!」
 
教会の中に声が響きテトとムニンは驚いた表情を浮かべたまま、俺をじっと見てきた。

「ソフィア! お前このままでいいのかよ?! このままだと本当にヴェルト・マギーアを発動させる鍵になっちまうんだぞ!」
 
しかしいくら叫んでもソフィアの体が動く感じは見られない。

「ソフィア!! 俺の声が聞こえないのか?!」
 
俺の姿を見していたサルワがにやりと笑うと言う。

「いくら呼びかけても無駄だよ」

「くっ……サルワ……お前は!!」
 
サルワは魔法陣の真ん中まで歩いてくると両腕を大きく広げた。