「破壊の牙(ブレイクファング)!」

「ふっ……黒の守り(セイブルシールド)」
 
二人が戦っている間に俺はソフィアの両手首に付いている、枷目掛けて狙いを定め魔法を放つ。

「光の精霊よ、その力を持って枷を破壊しろ、光の矢(ライトアロー)」
 
二本の光の矢が枷目掛けて飛んでいく。しかし光の矢は枷に届く少し前で、見えない結界によって弾かれてしまった。

「結界?!」

「最初から私たちをソフィアに近づかせる気なんてなかったのよ」
 
テトはサルワを睨みつける。
 
サルワはムニンの攻撃を軽やかに交わしていくと、間を取るように後ろへと下がった。

「くそ……」
 
祭壇の上へと着地したサルワは、俺たちを見下ろしながら言う。

「君たちがいくらあの子を助けようとしても、それは無理なことなんだよ」
 
もう一度爪を鋭く変化させたムニンはサルワに向かっていく。

「お前を殺せば全て終わることだ!」
 
ムニンの爪がサルワの体に届きそうになった時、ムニンの体の動きが止まった。

「な、何だ、これ?」

「悪魔の目(ディアーブルアイ)」
 
サルワの右目が真っ赤に染まると、ムニンの動きが完全に止まってしまった。

「あの瞳は!」

「知っているのかテト?」

「あの魔法を発動されたら、サルワの右目を見ては駄目よ。見てしまったら最後、体の自由を奪われ何も抵抗出来なくなるんだから」
 
ムニンの動きを止めたサルワがこちらに目を向ける。