ソフィアの体からは血が流れ所々に何かに噛みつかれた痕が残っている。

そしてソフィアの胸元には見覚えのない魔法陣が真っ赤な光を放っていた。

「案外早かったね」

「っ!」
 
祭壇の方から声が聞こえ俺はそちらに鋭い目を向けた。そこには俺たちを見てあざ笑うような笑みを浮かべたサルワが立っていた。

「サルワ! ソフィアに何をしたんだ?!」

「言うことを聞いてくれなかったからね少しお仕置きしたんだ」
 
俺はソフィアの背後にある雫の結晶体に目を向けた。

ソフィアが気を失っているせいで儀式は中断されているのか?
 
もしそうなら今がソフィアを助け出すチャンスかもしれない。

「君がここに来るのは想定内だったよ。だから待っていたんだ」

「待っていた?」
 
その言葉に首を傾げた時サルワが指を鳴らす。すると真っ赤に光を放っていた魔法陣が、さらに赤く染まった色を放ち始めた。

「なんだ……これは?」

「ヴェルト・マギーアの魔法陣よ」
 
テトが肩の上に乗ってくると言う。

「何で分かる?」

「こんな複雑に作られた魔法陣は今まで見たことないもの。ソフィアをヴェルト・マギーアの鍵に使うなら、この魔方陣がヴェルト・マギーアを発動させる為の魔方陣と考えるべきよ」
 
テトは魔法陣を睨みつけると気を失っているソフィアを見上げる。

「この魔法陣を使って雫の結晶体の魔力をソフィアの体内に注いでいるみたいね」

「正解だよ。やはり君は他の使い魔たちとは違って凄く優秀みたいだ」

「あなたに褒められても嬉しくないわね。……ソフィアを離しなさい」

「それは無理なお願いだ」
 
サルワはそう言うと俺たちに手をかざす。