「な、なんだよ、あれ?」

「とても嫌な魔力を感じるわね」
 
目の前に見える教会の頭上には大きな魔法陣が浮いていた。その魔法陣からは禍々しい魔力を感じる。

「まさかもう儀式が始まったのか?」

「もしそうなら急がないとやばいぞ!」

「だけど……」
 
この数の団員たちを相手にするには思ったよりも時間が掛かってしまう。

「アレスたちは先に行って」

「カレン?」
 
サファイアを構えるカレンが言う。

「ここは私とロキで充分よ」
 
カレンは構えていたサファイアを夜空に向かってかざす。

「我が剣、サファイアに秘められし力よ、氷の精霊よ、大気の精霊よ、その力を一つとし、地平を凍らす力を我に授けたまえ」
 
サファイアは青白い輝きを放つと冷気をまとった。そしてカレンは冷気をまとったサファイアを勢いよく地面に突き刺して叫ぶ。

「絶対零度(ゼロアブソルート)!」
 
冷気が地面全域に放たれ、絶対零度が目の前にいた団員たち全員を氷漬けにした。

「さすが氷結の魔道士ね。超上級魔法の絶対零度まで使えるなんて」

「そんな事より早く行って」

「ここは、俺たちで何とかするから」

「……ありがとう!」
 
この場は二人に任せ俺はテトたちと一緒に教会に向かって走り出した。

「さてと。カレンにだけかっこいいところ持っていかれてたまるかっての!」
 
ロキは胸の前で印を結ぶと詠唱を始める。

「鳳凰の聖域より来る、焔と業火の精霊よ、汝その力を我に貸し与え、地平を焼き尽くす力へと変えよ!」
 
ロキの背後に焔をまとった鳳凰が姿を現す。