「この子は私の使い魔だ。さあ行け」
 
使い魔のコウモリがパタパタと飛ぶと、神の守りをすり抜けて私の体の元まで飛んでくる。

「その子は使い魔の中では、とても凶暴な子なんだよ」
 
コウモリは私の肩の上に乗る。そして――

「あああっ!!」
 
口を大きく空けたコウモリは、私の肩に思いっきり噛み付いた。肩から体全体に激痛が走り一瞬意識を手放しかける。

「言っただろ? とても凶暴な子だって。そのコウモリは、人喰いコウモリで有名な子でね、魔力の高い人間を喰うことが大好きなんだ」

「くっううぅ!!」
 
コウモリの鋭い牙が、更に体の中に喰い込む。

「きゃあああ!!」
 
なんなのこの使い魔は?! 神の守りをすり抜けて私の肩に噛み付くだなんて。

神の守りをすり抜ける事が出来る使い魔がいるはず――

まさか……サルワが何かしたの?
 
肩から流れる血が一滴魔法陣の上に落ちる。すると魔法陣が真っ赤に輝きを放つ。

「君がどこまで耐えられるのか、楽しみだよ」
 
サルワはそう言うと喉の奥で笑った。

★ ★ ★

「炎の玉(ファイアボール)!」

「氷の拳(グラースフィスト)!」

「焔の翼(フレイムエール)!」
 
三人の魔法が目の前に待ち構えている団員たちを一掃していく。しかしいくら魔法を放っても、団員たちの数が減っていっているようには見えなかった。

「これじゃあ、キリがないな……」
 
手を前に構えて、更に魔法を放とうとした時だった。

「アレス、あれを見て!」
 
テトが指をさした先に俺たちは目を向けた。