「あ、熱い!」
 
魔法陣が光を放ち始めた時、体が焼けるような熱さに襲われた。

「さあ……雫の結晶体よ! 私が望む世界を創造するのだあああ!!」

「っ!」
 
私の体が大きく脈を打ち鎖を伝って流れてくる魔力が体内へ入ってくるのを感じた。
 
自分の魔力じゃない魔力同士が混じり合うのを感じ、自分が自分じゃなくなるみたいで凄く怖かった。

このまま雫の器にされてしまう私は、いったいどうなってしまうのだろう? 

体の自由や意識は全て、サルワの物になってしまうのだろうか?
 
そう思った時、不意に体に力が入り小さく呟く。

「い……やだ!」
 
拳に力を込めた時、私の瞳が真っ赤に輝く。

「あんな奴の……思い通りになんて……なるものか!」
 
両手に自分の魔力を集中させ、詠唱を唱え始める。

「神の力を与えられし、加護の力よ、我の体を包み込み、あらゆる物を遮断せよ、神の守り(デューシールド)!」
 
黄金に輝く神の守りが私の体を包み込んだ。
 
それに気がついたサルワは、軽く笑うと私を見上げる。

「まだそんな力が残っていたとは」

「あなたたち……の……思い通り……になんて、絶対にならない!」
 
私は必死にそう叫んだ。
 
アレスたちがここに向かって来ているなら、今の私に出来ることはたった一つだけ。

たとえ体が壊れようともサルワたちの思い取りにせないことだ!

「神の守りを張るので精一杯のように見えるけど、抗うようならこちらにも考えがある」
 
サルワが指を鳴らすと、一匹のコウモリがサルワの横に姿を現した。