★　★　★

朝練を終えて制服に着替えた私は部屋で魔法書を読んでいた。

「ほんと毎日よく飽きないわね」

「当たり前でしょ？　常に魔法書を読んでいるのは、次の授業の予習をするためなんだから」

そんな私の言葉にテトはくすりと笑うと言う。

「とか言って、本当はアレスがいつ来ても良いように備えているんでしょ？」

テトの言葉にビクッと肩を上げる私は慌てて言い返す。

「そ、そんなわけないでしょ？！　別にあいつのことは気にしていない。それに今のあいつが私と同じ黄雫のクラスに配属されるわけがないよ」

「それはどうかしらね〜」

その言葉を聞いた私は目を細めて、テトに疑いの眼差しを向けた。

それは何かを知っているような口振りだったからだ。

「テト。何か知っているんでしょ？」

「別に？　何も知らないわよ？」

そう言ったテトは誤魔化すように毛繕いを始める。

何か胡散臭いな……絶対何か隠してるよ。

しかし聞き出すにしてもテトは中々口を割らないタイプだ。

「そうだソフィア。今日の新聞が届いていたわよ」

「あ、ありがとう」

テトは話題を逸らすように新聞を渡してきた。

上手くはぐらかされた気分になったけど、これ以上テトを問い詰めたとしても話してはくれないだろう。

軽く溜め息を溢した私は新聞の表記事に目を落とした。そこに載っていたのは案の定、雫を抜かれた人の記事だった。

また中々犯人を捕まえることが出来ない、警察に対する街の人たちの不満の声が大量に記載されていた。

これは警察にとっても苦痛な内容だろう。

“まったく警察は役にたたん！”

“警察は何をしているの？！”

“早く犯人を捕まえてください”

“警察は信用できない！”

など苦しいコメントばかりが記載されている。

こんな記事では警察の評判が下がる一方だ。

「もっと他に書くことがあるだろうに……」

警察の評判が落ちる記事を書いたところで事件は解決しない。

捜査で分かったことや犯人の目撃情報とかを乗せれば良いものを、どうして記者はこういうことばかり書きたがるのだろう？　　

アレスのことも悪く書いてあって少し腹が立つところもあり、その先は読む気にすらなれなかった。