「暇そうだったから連れて来たのよ」

「暇なわけないだろ! 人がせっかく気持ちよく寝ていたってのに!」

「な、何かごめん……ロキ」
 
おそらく俺の連絡を受けたカレンが、寝ていたロキを拉致して連れてきたのだろう。

ロキがカレンに連れて来られたのは、俺のせいでもあるけどロキも一緒に来てくれるなら心強い。

「アレスは悪くないだろ? 悪いのはこいつだ!」
 
ロキはカレンを睨みつける。
 
相変わらずこの二人は仲が悪い。会う度に喧嘩ばかりするものだから、止めるのはもう諦めている。

「氷結と業火じゃ相性悪いものね」
 
テトは俺の肩の上に飛び乗る。

「あれ? お前に使い魔なんて居たか?」
 
カレンと全く同じ事を聞かれ軽く溜め息を溢した。仲が悪い二人だけど似ているところもあったりするんだ。

「こいつはテト、ソフィアの使い魔だ」

「えっ! ソフィアって……あのソフィアちゃんの事か?!」
 
ソフィアの名前を聞いたロキは体に巻かれていた紐を炎(ファイア)で燃やすと立ち上がる。

乱れた服装と髪を整えながらロキはぐっと自分の顔を俺に近づけてきた。

「ソフィアちゃんってあの、エアトート魔法学校で絶対零度の女って呼ばれている子だろ? 鋭い目つきで男を睨みつけるみたいだけど、絶世の美女なんだってな」

「ぜ、絶世の美女? ……か、顔が近い!」
 
ロキに呆れつつ俺は両手でロキの顔を押し返した。ほんとこいつは女の子の名前が出ると直ぐに飛びついてくる。