サルワは指先で私の肌に触れてくる。

「本当に美しい肌だ。これが魔人族の美しさの一つなのかな」

「魔人……族?」
 
サルワは何を言っているの?

「何か……勘違いして……るんじゃないの? 私は……魔人族……なんかじゃ」

いったい何を思って私を魔人族だと思っているか知らないけど、私が魔人族なわけがない。

「なんだ……無自覚だったのか」
 
サルワは付き添いで来ていた教団の一人からペンを貰うと、それを私の胸元に当てる。

「無自覚でもいいや、君はヴェルト・マギーアを完成させる鍵なんだから」

「鍵?」

サルワはペンを使うと私の胸元に魔法陣を彫っていく。

「あああっ! あ……つい」

「人造人間の実験をしていくうちに、私は気がついたのだ」
 
サルワは魔法陣を彫りながら話し出す。
 
でも今の私にはサルワの話が耳に入って来なかった。体の熱さや酷い目眩。

胸元に走る激痛のせいで意識を保つのがやっとだった。

「人造人間では雫の入れ物にならないんだよ」

「……っ!」

「雫の全魔力を入れる器にふさわしいのは魔人族の血を引き、その力を持つ者でなければならない。だがこの時代に魔人族の存在はもうなかった。おろかな人間族が、魔人族を滅ぼしてしまったからね。しかし私は見つけたのだ君という存在を」