どうする……いったいどうすればソフィアを助けに行ける?!
 
俺の中で焦りが生まれ考えが上手くまとまらない。

「はあ……まったく」
 
深く溜め息を付いたテトはブローチに触れると、ある一冊の分厚い魔法書を取り出した。

「アレス。今からあなたは使い魔と契約しなさい」

「……は?」
 
こんな時に何を言っているんだ? 使い魔と契約している時間なんてないのに。

「今はそんなことしている場合じゃないだろ?! 一刻も早くソフィアを助けに行かないと」

「だから私の言うことを聞きなさいと言っているのよ」
 
テトの黄金に輝く瞳が鋭く光ったように見えた。

それを見た俺は何も言えなくなってしまい小さく頷いた。

♢ ♢ ♢

部屋にあったチョークを適当に借りて、テトに言われた通りの魔法陣を描いていく。
 
使い魔と契約する為の魔法陣を描くのは今回が初めてだったから、これで本当に使い魔が出て来てくれるか不安だった。

でも今このタイミングで俺に使い魔と契約させようとしているってことは、テトに何か考えがあるんだろう。

「良い? これからあなたには【ムニン】と契約してもらうわよ」

「ムニン?」

「ムニンは使い魔の中ではとても優秀な子なのよ。特に【記憶】に関する方にね」
 
テトの言葉を聞いて俺の中である考えが浮かんだ。

「まさかそのムニンって使い魔に、魔法陣を描かせるんだな?」

「それも良い案だと思うけど時間がない以上は、ムニンに記憶を失わない魔法をかけてもらった方が早いわね」

使い魔っていろんな奴がいるのか……。
 
警察が契約している使い魔は魔犬で、犯人を追ったり居場所を突き止める時に、犯人が所有していた物の臭いを嗅がせ捜査をさせるらしい。

それぞれの職業にあった使い魔を契約する人が多く居て、ペットとして使い魔と契約する子も少なくないらしい。