「ヴェルト・マギーアを完成させる為には、魔人族の血とその力を持つ純血種でなければならない事が分かった」

「炎の玉(ファイアボール)!」
 
サルワに向かって炎の玉を放つ。

しかしサルワの背後にある扉が開かれるとそこから強風が流れ込み、放った炎の玉を吹き消されてしまった。

「っ!」
 
体が強風に耐えられず俺はそのまま後ろにあったゴミの山へと飛ばされた。

「さようなら、探偵」
 
サルワはソフィアと一緒に扉の中へと入る。

「待て……サルワ!」
 
立ち上がろうとした時テトがサルワに飛びかかる姿が目に入った。

「ソフィアを連れて行かせないわよ!」
 
鋭く爪を立てたテトがサルワに襲いかかる。

「ただの使い魔のくせに……」
 
サルワは振り返るとテトの体を簡単に弾き飛ばした。

「きゃあっ!」

「テト!」
 
サルワは笑い声を上げながら扉の中へと消えて行く。

「ソフィア!」
 
俺は扉に向かって走り出し手を伸ばした。

「この子を助けたかったら忘却の山に来ればいいよ。来れるようだったらだけど」
 
サルワはそれだけ言い残すと扉と共に姿を消した。

それを見届けることしか出来なかった俺は力を込めた拳を石垣にぶつける。

「くそっ!」

「どうするの……アレス? 忘却の山に来いって言われても、ソフィアからまだ魔法陣を描かれた紙を貰っていないのよ」

「分かってる!」
 
そう強く言い必死に頭の中の思考を巡らせた。