駅の電光掲示を確認し、最も早く自宅の最寄り駅に到着する電車に掛け込む。

 すでに会社帰りのサラリーマンや部活帰りの高校生でごった返している。

「聞いてよ。俺さ、口でボールペンを咥えたら結構いろいろと細かい作業ができるってことに気付いたんだ。

 犬の手じゃ、小さいボタンって押せないだろう?

 だけどボールペンの先を使えば、電話もテレビも洗濯機も、全部ボタンが押せるんだ」

……。

「……それで?」

 拍子抜けした。