初めてしたキスは涙で冷たくて、悲しくて、切なくて、どうしようもなかった。
 本当の意味で、最初で最後のキスだった。
 神様、お願いです。ハルを助けてください。私の心臓の寿命を使ってもいいから、助けてください。
 この世界で、一番大切な人なんです。一番、守ってあげたい人なんです。
 途方もない願いばかりが、私たちの心臓を締め付ける。
 ハルが出発する時間のギリギリまで、私はハルの手を握りしめて離さなかった。
 魂が震えるほど、神様に願い続けたんだ。
 


 だけど結局、その願いは叶わなかった。
 ハルが退学してから半年後、私の元へ青い封筒の手紙が届いた。

 そこには、ハルが亡くなったことを知らせる文章が、淡々と書かれていたのだった。