やばい、こいつ調子に乗ってる。

急に危機感を覚えた私は、ぺしんと優海の頭をはたいた。

「いって!」
「赤点がなかったくらいで喜びすぎ! 赤点とらないとか当たり前のことだから」

目を丸くして振り向いた彼に怒った顔で言ってやると、へらりと笑みが返ってくる。

「だよなー」
「そうだよ。次は全教科平均点超えてやる、くらいの気概を見せてよね」
「ん? キガイ? 危ない害?」
「違う! 要は気合いってこと。二学期もちゃんと点数とらなきゃ冬の大会出れないんでしょ?」
「あーうん、そうなんだよな」
「赤点ぎりぎり狙ってたら失敗するかもしれないんだから、平均点狙っていきなさい!」
「ラジャー!」

優海は敬礼ポーズをとってから、にっこり笑って私を見た。

「大丈夫だよ、俺には凪沙がついてるから! 次も教えてくれるだろ?」

どきりと心臓が跳ねた。

それを必死に顔に出さないようにしながら、「甘えんなバカ」と返す。