「そうだよな、他の男のためにやせようとしてるなんて決めつけたらだめだよな。ごめん」

優海は昔から、自分の非を認めたらすぐに謝る。

ひねくれ者の私だけれど、その屈託のない素直さを向けられると、自分まで素直に謝り返してしまうのだ。

「……私こそごめん。せっかくもらったのに」
「や、それはいいんだけどさ。無理やり食うもんでもないし。あ、ダイエットしてんなら菓子なんか持ってないほうがいいよな、他のもんに変えるわ」

そう言って優海がお菓子を引き取ろうとしたので、慌てて取り返す。

「いや、いいいい! もらう、ちょうだい、ください!」
「えー、無理すんなよ」
「いいの、やっぱダイエットやめた!」

首をぶんぶん振りながらお菓子を抱きしめると、優海は「なんだそれ」と目を細めて笑った。

その笑顔を見るとぱっと光が射したような気がして、急に空腹を感じはじめた。

昨日の夜からほとんど食べていないのだから、胃の中は空っぽのはずだ。

「やっぱ今から食べる。優海も一緒に食べよ」

私の言葉に、優海はとろけそうな笑顔を浮かべた。

「おう、一緒に食おう!」