「隠れてこそこそ優海のこと見てたり、私のいないところで話して喜んでたりするの、嫌なの!」

叫んでいたら涙は流れだす前にひっこんでくれたので少し安心する。

震えていた声も、今はしっかり出ている。

「……ずっと裏でこっそり好きでいられるのとか、かなり気分悪いんだよね」

今度はできる限りの冷たい声音で低く言いながら、私は唖然としている美紅ちゃんを睨みつけた。

さぞ情緒不安定なやばいやつだと思われていることだろう。

「それくらいならさあ、さっさと告白してもらったほうが私もすっきりするんだよね。だから、もう、告白しちゃってよ」

言い切ってから、これではあまりにも一方的で逆に告白なんてしたくなくなってしまうのではないか、と不安になってきて、

「……お願い」

と小さく付け加えた。

痛いほどの沈黙が訪れる。

私は細く息を吐いて、「じゃあ、よろしくね」とその場を後にした。

駐輪場へと歩いていく間、私の心は、自分で突き刺した棘でずきずきと痛み続けた。


結局その日は優海と一緒に帰るのはやめ、ひとりで帰路についた。

あんなことがあったあとで、彼の前でいつも通りに振る舞える自信は、さすがになかった。