「だって、ほら、彼女がいたら告白しちゃいけないなんて法律はないし」

美紅ちゃんが頬を赤く染めたまま怪訝な表情を浮かべる。

私は気持ちが変わらないうちに、と思って一気にまくしたてた。

「もし美紅ちゃんが優海のことを本気で好きでいてくれて、告白したいと思ってるんなら、私に遠慮してやめるとかはしなくていいから。それにほら、分かんないじゃん、優海は美紅ちゃんに告白されたら私と別れて美紅ちゃんを選ぶかもしれない」

「そんな……そんなはずないよ。だって、二人すごく仲良しじゃない」

美紅ちゃんが戸惑った表情で私に近づいてくる。

「そんなことないよ……優海には美紅ちゃんみたいな子のほうがお似合いだもん」

「ええー……」

彼女は途方に暮れたように声をもらした。

「それに……」

本当は言うつもりはなかったことだけれど、こらえきれなくなって、その言葉が口からこぼれ落ちてしまった。

「私と優海は、別れる、かもしれないから……」

え、と彼女が目を見張った。

どういうこと? とかすれた声で訊ねられたけれど、聞こえなかったふりをする。

「だから、美紅ちゃんは、告白したいと思ってるなら告白したほうがいいよ」

じっと見つめていると、美紅ちゃんの顔が苦しそうに歪みはじめた。

申し訳なくなって、今度は謝らずにはいられなくなった。