「……あのさ、偉そうついでに、もうひとつ言っていい?」
「……え?」

首をかしげた彼女に向かって、最大限の明るい声と笑顔で言った。

「告白とか、したいならしてもいいからね」

美紅ちゃんの顔がまた真っ赤になった。

「え……っ、なんで……」

動揺するのも当然だろう。

彼女からしたら、私は今日初めて話をしただけの、ただの同学年の生徒だ。

でも、申し訳ないけれど私は知っていた。

彼女がツイッターで、誰にともなく、胸のうちを吐き出すようにつぶやいていたこと。

『今日ちょっと話せた』
『かっこよかったー!』
『好きすぎてつらい』
『告白したらすっきりするかな?』
『振ってもらえたら諦めもつくはず』
『でも彼女さんに悪いよね……』

相手が優海だということは、どこにも書かれていなくて、そこに美紅ちゃんの本気度と気遣いが感じられた。

読んでいると彼女の苦しい気持ちが伝わってきて、胸が痛かった。

もしも私が優海と出会っていなかったら。付き合っていなかったら。

彼女が先に彼に出会っていたら。

そしたら、優海と美紅ちゃんが付き合っていたかもしれないのに。

私が先だったせいで、こんなことに。

そう思えてきて、やるせなくなった。

前の私は、全くこんな考え方はしなかったんだけれど。