その優海の前に、大柄な先輩が立ちはだかり、パスカットをしようと手を伸ばす。

その瞬間に、優海は全身のばねを使って大きく跳ねた。

先輩よりも頭ひとつ飛び出すくらい高いジャンプだった。

先輩を出し抜く形で、まだ空中高いところにあるボールを素早くつかむ。

「ナイスキャーッチ!」

仲間から一斉に拍手と歓声が沸いた。

普段はとぼけたやつだけど、運動をしているときだけはまあまあかっこいいな、といつも思う。

妙にモテるのも分かる気がした。おバカな面を見ずに、スポーツで活躍しているところだけ見たら、すごくかっこいいやつだと思われるのも頷ける。

「優海、そのまま行け!!」

すぐにドリブルをついて走り出した優海に指示が飛ぶ。

次々に迫ってくるディフェンスを目にも留まらぬ早さですり抜けた彼は、ボールをのせた右手を真っ直ぐにゴールへ伸ばし、きれいなフォームのレイアップシュートを決めた。

「ナイッシュー!!」

レギュラーの先輩たちが優海に駆け寄り、肩を抱いたり頭をくしゃくしゃに撫でたりした。

優海が可愛がられていることに安堵を覚える。