コートの中を見た瞬間に、優海の姿を発見する。

彼はいつものように、水を得た魚のように生き生きとした表情で、全身で跳ねるように動き回っていた。

今はゲーム中らしく、コートの中でレギュラーメンバーとその他の部員が五人ずつのチームで対戦している。

うちの高校のバスケ部はそれほど人数が多くないので、三年生の先輩たちが春の大会で引退したあと、優海は一年生ながらレギュラーに入ることができていた。

バスケを始めたのは中二からだけれど、もともと運動神経がいいので、優海と仲のいい林くんいわく、かなり上手いらしい。

そういえば中学の時もすぐにレギュラーに入っていた。

元気がよくてムードメーカーになれるという評価のおかげもあったらしいけれど。

「取れる、行け行け!」
「ナイスカットー!」
「戻れー!」
「走れ走れっ、遅い!」
「パスパスパス!」

大声で叫びながら、汗だくになって走り回る部員たち。

私の生活ではありえない、活気のある練習風景に、元気だなあ、この暑い中よくやるねえ、と年寄りみたいなことを思う。

「優海っ!」

かけ声と共に、林くんから優海に向かってパスが投げられた。

優海は「はいっ!」と答えて、ゴールの方向に全速力で走りながら両手を構える。