「やったー、凪沙に教えてもらえる! ありがとー凪沙先生! これで全教科合格点確実だぜ!」

ガッツポーズをしながら叫ぶ優海に、あきれ顔で返す。

「さすがにそこまで優秀な家庭教師じゃないよ……」
「いや、凪沙に教えてもらえるなら俺のやる気が百倍になるから、絶対成績アップするもんな!」

また、けろっとそんなこと言って。調子いいんだから。ほんと恥ずかしいやつ。

とは思うものの、私と同じ高校に行きたい一心で猛勉強して、偏差値を三十近く上げてみせたことを思えば、もしかしたら優海なら軽々とやってしまうのかもしれない。

勉強嫌いで成績は悪いけれど、頭の回転は遅いわけではないし、何より素直だから、本気を出せばなんでもするすると吸収してしまうのだ。

「じゃあ明日から本気でがんばろうね!」
「了解です凪沙先生! よっしゃ、やるぞー!」

腕を突き上げながら自分の席に戻っていく彼を苦笑しながら見ていたら、真梨に声をかけられた。

「ねえねえ、凪沙。私もちょっとだけ勉強教えてほしいな。化学で分からないところあって」
「ん、いいよ。じゃあ、今日の放課後とかどう?」
「うん、うちの部活今日から試験休みだから。よろしく!」
「オッケー」