ツイッターを閉じて、スマホを投げ出して床に寝転ぶ。

仰向けになって、天井のチョコレートの染みを見つめていると、あの日の優海の顔が心に浮かんできた。

おばあちゃんに叱られていたときの泣き顔と、そのあと、同じように泣いていた私の手を握ってくれたときの笑顔。

ゆっくりと瞬きをしてから、目を閉じて両手で顔を覆う。

気持ちを抑えて自分を律するというのは、とても難しい。

でも、やらなきゃいけないんだ、私は。

寝返りを打つと、畳の上に置いた宝石箱が目に入った。

寝ているときにいつでも手にとれるように、布団を敷いたとき枕元になる場所に置いてある。

寝転んだまま手を伸ばしてケースをつかむ。

引き寄せて、蓋を開ける。

幼いころに砂浜で拾った貝殻のかたわれが、そっと息をひそめるようにそこにあった。

あまりにも薄くてもろくて触れるのもこわいくらいだったけれど、この前インターネットで補強の方法を調べて、透明のマニキュアをぬったので、少しはましになった。

もともと空いていた小さな穴――ヒトデか何かに食われた痕らしい――に金具を通して、金色の細いアクセサリーチェーンをつけたので、ネックレスとして使うこともできるようになった。

もったいないから使わないけれど。

透き通った淡い桜色をした壊れやすいそれを、そっと指先でつまみ、明かりに透かしてみる。

優しい色の光に包まれたような心地がして、私はまた目を閉じた。

幸せを運んでくると言われる桜貝のかけら。

どうやらこれの持ち主である私に幸せが訪れることはないようだけれど、それなら、これを拾った人を、このかたわれを持っている人を幸せにしてくれないとおかしい。

だから、頼んだよ、と小さく儚いそれを抱きしめて願いをこめた。