『結婚したらあったかい家庭を築く! 子どもはたくさん欲しいけど、何人も産むのは凪沙が大変かな~。でも二人か三人はいるといいな。兄弟がいないとさみしいから。俺が産んでやれたらいいけど無理だし、俺が全力で支えて応援するから、がんばってもらえるかな?』

優海の家族写真が目に浮かんだ。

面倒見のいい優海は、いつも弟の広海くんと遊んであげていた。

兄弟がいないとさみしい、という言葉が私の胸に突き刺さった。

『家は大きくなくてもいい。広すぎる家はさみしいし、狭いほうがいつも凪沙の近くにいれるからいい。そんで犬と猫を飼う。凪沙は猫派で俺は犬派だから、どっちも飼う! 世話が大変かもしれんけどがんばる。大家族でにぎやかで楽しい家にするんだ!』

ふ、と唇から息が洩れた。

「どうどう? 完璧な人生設計だろ?」

優海が自慢げに私の顔を覗きこんできた。

きらきらと輝く瞳は、希望に満ちていた。

私はひとつ呼吸をしてから、

「ぜんっぜん完璧じゃないし!」

と紙を突き返した。

「ええーっ、なんでなんで、何が足りない?」
「いやいや、何が足りないっていうか、いちばん大事なこと書いてないじゃん。進路希望の調査なんだから、なんの仕事に就きたいかがいちばん大事でしょ。なのに、『かせげる仕事!』とかなんの具体性もないし間抜け!」