次に真梨が「私はねえ」と微笑みながら口を開いた。

「まだ全然決まってないけど、なんとなく美容のお仕事楽しそうだなって思ってて、そういう系の専門学校調べて書いといた」
「わー、いいじゃんいいじゃん、似合いそう」

こくこくと頷きながら言うと、真梨はありがとうと笑った。

中学のころから真梨はいつも可愛い髪形をしていたし、休みの日には化粧もネイルも綺麗にしているし、美容師でもネイリストでも向いていそうだ。

当たり前だけれど、みんなそれぞれに色んな夢がある。

夢の形は人それぞれなのだ。

でも、私の夢は――。

そんな考えに沈んだ瞬間、「凪沙ー」と泣きそうな声が聞こえてきた。

顔をあげると、優海が情けない表情でこちらを見ている。

「なんで俺には聞いてくれないんだよー」
「あー、ごめん、忘れてた」
「ひどっ!」

黒田くんが笑いながら「優海はなんて書いたん?」と訊ねる。

「おっ、見たい見たい?」
「どうせ仮面ライダーになりたいとか書いてるんでしょ」
「ひどいよ凪沙ー、俺もうガキじゃないんだからさ~」
「あ、そっか、仮面ライダーは小学校のときだね。中学のときはスパイダーマンって言ってたか」
「さすが優海だなー」
「あはは、三島くんてほんとおもしろいね」