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机の上に置いた一枚の紙の前で、私は頬杖をつきながらペンをもてあそんでいた。
朝のホームルームで配付された、進路希望調査のプリントだ。
希望大学、希望学部・学科。将来なりたい職業。
前はなんて書いたっけ。
覚えていない。
自分で書いた自分の進路希望を覚えていないなんて。
つまり、その程度の希望だったということだ。
仕方なく、教室の前の棚に置かれている大学一覧の本をもってきて、適当な大学のそれらしい学部を選んで記入した。
でも、なりたい職業の欄は、見ているとなんとも言えない気持ちになって、とりあえずは空欄のままにしておくことにした。
そして、昼休み。
私は席を立って移動して、真梨の席に行き、向かい合ってお弁当を開く。
隣の机には優海と黒田くん。
いつものメンバーだ。
「凪沙、進路希望のやつ、もう書いた?」
真梨に問われて、ケースから箸を出しながら答える。
「あー、うん。まあ、だいたい、適当に。職業のとこはまだ書けてない」
「私もー。職業とか言われてもまだ分かんないよね」
すると、横で会話を聞いていたらしい黒田くんがこちらを見て話しかけてきた。
「なんか意外だな。日下さんなら大学とか職業とかもうばっちり決めてるのかと思ってた」
「いやあ……全然。早く決めなきゃいけないとは思ってるんだけどね、ぴんとこないというか」
すると、コンビニの袋からおにぎりを取り出しながら優海が口をはさんできた。
机の上に置いた一枚の紙の前で、私は頬杖をつきながらペンをもてあそんでいた。
朝のホームルームで配付された、進路希望調査のプリントだ。
希望大学、希望学部・学科。将来なりたい職業。
前はなんて書いたっけ。
覚えていない。
自分で書いた自分の進路希望を覚えていないなんて。
つまり、その程度の希望だったということだ。
仕方なく、教室の前の棚に置かれている大学一覧の本をもってきて、適当な大学のそれらしい学部を選んで記入した。
でも、なりたい職業の欄は、見ているとなんとも言えない気持ちになって、とりあえずは空欄のままにしておくことにした。
そして、昼休み。
私は席を立って移動して、真梨の席に行き、向かい合ってお弁当を開く。
隣の机には優海と黒田くん。
いつものメンバーだ。
「凪沙、進路希望のやつ、もう書いた?」
真梨に問われて、ケースから箸を出しながら答える。
「あー、うん。まあ、だいたい、適当に。職業のとこはまだ書けてない」
「私もー。職業とか言われてもまだ分かんないよね」
すると、横で会話を聞いていたらしい黒田くんがこちらを見て話しかけてきた。
「なんか意外だな。日下さんなら大学とか職業とかもうばっちり決めてるのかと思ってた」
「いやあ……全然。早く決めなきゃいけないとは思ってるんだけどね、ぴんとこないというか」
すると、コンビニの袋からおにぎりを取り出しながら優海が口をはさんできた。