優海を部活の午後練習へと送り出してから、私はひとり彼の家に残って昼食の片付けを始めた。

優海は申し訳ないから放っておいていいと言っていたけれど、これくらいのことはなんでもないし、むしろ私がしてあげたいのだ。

食器を重ねて台所に入ると、ゴミ箱の中はコンビニ弁当の空き容器でいっぱいになっていた。

ここから自転車で十分ほどかかる場所にあるコンビニがこのあたりで唯一の深夜営業の店で、優海の食生活を支えていると言っても過言ではない。

近所の人たちが料理を届けたりもしているけれど、それだって毎日というわけにはいかないし、あまりやりすぎると優海が遠慮してしまう。

とはいえ、コンビニ弁当ばかりでは味気ないし栄養のバランスも偏るだろう。優海は好きな唐揚げ弁当ばかり買ってしまうから。

もっと早く、彼に料理を作ってあげれば喜ばれるし身体の心配もしなくていいということに気づけばよかった。

たとえば中学生のうちに料理を覚えていれば、これまでにたくさん作ってあげられたはずなのに。

食器を洗おうとシンクの前に立つと、コップや小皿などの洗いものがたまっていた。

ここ数日は部活で遅くまで個人練習をしていたと言っていたから、帰ったらすぐに寝てしまったのだろう。

洗面所をのぞくと、洗濯ものもカゴに溢れそうになっていた。

私は洗濯機を回すと、台所に戻って食器もすべて洗った。

黙々と手を動かしながら、優海のためにできることがたくさんあったはずなのに何も気づかず何もしてあげずにいた過去の自分をうらめしく思った。